自動運転システム実現へのカウントダウン

バリアフリー観察記2003年

自動運転システム実現へのカウントダウン

 発光ダイオードを使った車両用信号機が増えている。豆電球のような小さな発光体を「青」「黄」「赤」のそれぞれに蜂の巣のように数百個並べている(Link)。これまでの電球式より、太陽が当たってもはっきり見える上に、耐久性が高く、消費電力も4分の1と経済的。
 発光ダイオードは「接合部に電流を流すと発光する特殊な半導体を利用した素子」(広辞苑)だそうだ。電球のようなフィラメントがないため切れることがない。また、電球のように熱を発生せずに電気エネルギーを光に変えるため、消費電力が少ないのだそうだ。

 この発光ダイオードが、今年から歩行者用信号機にも応用される。歩行者用では「青」には歩いている人の形が、「赤」には立ち止まっている人の形がそれぞれ浮かび上がる。電球式では全体を点灯させていたが、発光ダイオードを使うと人形部分だけを点灯させることができ、高齢者や視覚障害者にも見やすいとして評価もいいという(LinkLink)。
 これを知って、ムムッっと思った。車両用信号機に応用すれば、今よりたくさんの人が運転免許を取れるようになるのではないか。

 免許証を取る際には、十分な視力があるか、聴力があるか、運動能力があるか、といったことを適性検査で事前に確認する。そこでは青、黄、赤を識別できるかといったことも確認され、極度の色盲の人は「適性なし」となる。でも、歩行者用信号機と同様に「青」は「○」、「黄」は「△」、「赤」は「×」といった具合に、図形を使ってそれぞれの色を表現すれば、信号を見分けることができるようになるはずだ。
「これは特許を取れるかも……」
 一瞬、そう色めき立ったものの、何と、7年も前にこのアイデアを思いついた人がいた。しかも、特許取得済み!(Link)。

 だれにとっても手軽で安全な自動車の可能性について考えていたら、2010年ごろには一般の自動車を全自動で目的地に到着させるシステム(インターネット高度道路交通システム;ITS)が実現することを知った。道路と車両にそれぞれカメラやセンサーを装備し、車間距離や現在位置を正確に把握する。これにより、車線変更だって車任せでOKだ(Link)。
 これが実現すれば事故や大渋滞はなくなり、寝ていても指定した目的地にたどり着ける。ハンドルを握る必要がないのだから、運転の実技試験に受からなかった人だって運転ができるようになるはずだ。

 車いすに乗ったまま運転席に乗り込める、手足が不自由でも運転できるなどのバリアフリーな自動車はすでに開発され“福祉車両”として発売されている。だが、高齢になって視力が落ちてきたり、判断力が鈍ってきたりして運転を断念する人もいるし、睡眠時無呼吸症候群による居眠りの危険性を理由に、ハンドルを握れないプロのドライバーもいる。これまで不自由なく運転していた人たちが、今後もずっと運転し続けられるわけではないのが現状だ。

 初めて運転免許を取った日、電車やバスの時間を気にせず、いつでもどこへでも行けるようになったことがとてもうれしかった。「家のドアの前から行きたいところまでが直接つながった」という喜びは、ドラえもんの「どこでもドア」を手にすることに匹敵する。
 あとわずか7年で、だれもがそんな喜びを手にできる――そう思うだけで、ワクワクとしてしまう。

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Last Update : 2003/04/24